こんにちは。
今回は、Binary Acousticsより発売中のイヤホン「Binary Acoustics Dynaquattro」のレビュー記事です。
同社が新たにリリースする、ダイナミックドライバーのみで構成された異色のイヤホン。
多ドライバーでは珍しい構成の本製品について、その特長や音についてご紹介していきたいと思います。
※本記事の執筆にあたり、HiFiGo様(@HifigoJp)より製品をご提供いただいております。
このような機会をいただけましたことに、改めてお礼申し上げます。
製品概要
「Binary Acoustics Dynaquattro」は、4基のダイナミックドライバー(パッシブ振動版を含む)を搭載した多ドライバーとしては珍しい、ダイナミック型のみで統一されたタイプのイヤホンです。
各々のドライバー径(振動板のサイズ)が異なるところが本製品のポイントのひとつであり、それぞれ「10mm / 8mm / 6.8mm / 6mm」径の多様なドライバーが搭載されています。
6mm径のドライバーはパッシブ型の構成となっており、10mm径のドライバーとの二重構造となっていますので、実質的には3DD構成に相当するイヤホンとなるようです。
トータルで193平方ミリメートルにもなる広大なドライバー径により、広く臨場感のあるサウンドに仕上げた一品とのことです。
6.8mm径のドライバーは純銀コイル・アルミニウム平面振動板の複合構造となっており、ダイナミックドライバーでは補いづらい高音域表現を担当しているとのことで、どのような音源にも対応できるように見受けられますね。
また、3Dプリント技術により各音域が物理的に分離された音響管構造となっており、さらに3-Way周波数分割を取り入れることで、各音域の分離感の高さと広い周波数での高いレスポンスを実現しているといった面も特長のひとつです。
パッケージと付属品等について
パッケージは歯車を模したデザインながら、製品名の主張はあまり強くないシンプルなタイプです。
内箱を開封すると、既にケーブルが接続された状態で格納されています。
左側のプラケースにはイヤーピースが収まっていて、「S / M / L」の各サイズが2ペアずつ同封されています。
付属品は以下のとおり。
先ほどのイヤーピースに加えて、持ち運び用のペリカン風のイヤホンケースが付属しています。
デザイン性に向けるよりは、実用性・耐久性を重視したケースが採用されていることもひとつの特長です。
付属ケーブルはプラグ交換型を採用しており、プラグは「3.5mm / 4.4mm」に両対応しています。
接続は差し込み式+ネジ式のハイブリッドタイプで、しっかりとプラグをホールドすることができます。
イヤホン本体は以下のとおり。
パッケージと同じく歯車を模したデザインがCNC加工されたアルミニウム合金で立体的に成形されており、メカニカルな印象を感じさせます。
シェル部分は半透明の樹脂で覆われており、Moondropの「Variations」のような雰囲気を感じますね。
半透明であることから、本製品の特長である「独立した音響管の構造」がしっかりと搭載されていることを確認できます。
以下の写真は、フェイスプレートをテレマクロ撮影したものとなります。
縁の部分をよく見ていただくと、メーカー名(Binary Acoustics)のロゴが刻印されている点がお洒落です。
試聴前 – セットアップ
付属ケーブルを、4.4mmプラグへと変更してバランス接続でのレビューを進めていきます。
イヤーピースは付属品の使用を考えていましたが、私の耳との相性がしっくり来ないように感じてしまいましたので、今回は手持ちの「COREIR AL ALLOY」に変更しています。
試聴してみての感想
本記事では「FIIO K9 Pro ESS」で試聴しています。
全体的な傾向や各音域のバランス感
ある音源を聴けば暖色寄り、またある音源を聴けば寒色寄り…と、本製品は音源によってさまざまな姿を醸し出す、ある意味で不思議なサウンドとして仕上げられているように思います。
私はどちらかといえば、中音域~高音域に寄った女性ボーカルの曲でレビューを書くことが多いこともあって本製品の傾向は「やや寒色系」であるように感じます。
ただ、いずれの音源でも低音域の主張度合いは似たような表現に収まっており、パンチが良く効いています。
ドラムを叩く強さなどの細かな表現がレスポンスの良さに相まって、表現力の高さが際立っているように感じられます。
このあたりは、10mm径の振動板との二重構造として採用された6mm径のパッシブ型ドライバーがうまい具合に作用している結果のように感じられますね。
また製品概要へ書いたとおりではありますが、独立した音響管構造により各音域の分離感は高いレベルにまとまっています。
主張が強めの低音域に他の音域が負けてしまうことによる「音の濁り」は最小限に抑えられているように思われますので、低音域に全振りしたイヤホンだと思って手を出した場合、意外な万能さに意表を突かれそうです。
音源により印象が変わりやすいイヤホンであることは前述のとおりで、
そのうえで、私個人が抱いたイメージとしては「低音域>高音域≧中音域」のように思われました。
ダイナミックドライバーで固めたゆえの低音域の圧倒的な主張はそのままに、高音域を担当する6.8mm径のドライバーが煌びやかな音を奏でることもあり、一般的には弱ドンシャリ風味のイヤホンのように思われます。
ただ、全体的にはバランスの良いサウンドで「低音域に特長のあるイヤホンは好きだが、女性ボーカルの音源を中心に聴いている」方にとっては、絶妙なラインに刺さるような選択肢になるのではないかと思います。
販売情報
「Binary Acoustics Dynaquattro」は、AmazonやAliExpress等で販売されています。
お読みいただきありがとうございました。
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