こんにちは。
今回は、Shanlingより発売中のUSBドングルDAC「Shanling UA4」のレビュー記事です。
ESS社のDACチップ「ES9069Q」と、Ricore社のオペアンプ「RT6863」を組み合わせた定番のShanlingサウンドを楽しみつつご紹介していきたいと思います。
製品概要
「Shanling UA4」はESS社の省電力性能が強化されたDACチップ「ES9069Q」を1基と、
様々な製品で使用されているRicore社のオペアンプ「RT6863」を左右独立で2基搭載したUSBドングルDACです。
新規設計のアナログ回路により、音の歪みを大幅に低減しつつ高出力化とダイナミックレンジ(S/N比)の増大を実現しており、同社曰く下記のような音色にまとめられているとのことです。
・深みを出しつつも、芯の太さと力強さを実現
・音楽のベースとして、安定性に優れた豊かな低音域の質感を実現
・より一層、まとまりと弾力性を把握できるようになったサウンドを実現
・Shanling独自のノイズ制御技術と低ノイズなレギュレータを採用し、ピュアなサウンドを実現
また、本製品には0.87インチの有機ELディスプレイと3つの物理ボタンが搭載されており、基本機能として「再生 / 曲送り / 曲戻し」が単体で行えます。
上記に加え、単体でデジタルフィルター・ゲイン・画面の明るさなどの各種設定が行えるようになっているため、アプリに依存せず様々な環境で使用することが使用できるといった面が特長となっています。
なお、オーディオ機器の接続規格「UAC1.0 / UAC2.0」にそれぞれ対応しており、
パソコンやスマートフォンだけでなく、例えば「Nintendo Switch」などゲーム機に使用することも可能です。
その他の詳細については、国内販売代理店(MUSIN様)の製品紹介ページをご参考いただければと思います。
パッケージと付属品等について
今回は本体と純正ケース(グリーン)をセットで購入しました。
パッケージは小さいながらもマグネット式の蓋で、開封時の演出にもこだわりが感じられます。
DAC本体に沿える形で、USB Type-C to Type-A 変換コネクタが付属しています。
ケースを含む、その他の付属品は下記のとおりです。
少し面白く感じたのは、本体に貼り付けられている「ハイレゾステッカー」の予備があることですね。
確かに長く使えばステッカーが剥がれ落ちてしまうこともあり得ますので、そういった細かい点を気にする方も少なくないかなと思いましたので、これはこれで良いサービスかなと感じました。
なお、ちょっと難点を感じたのは純正ケースを装着した状態でプラグの抜き差しをする場合において、特にストッパー等がないので、中身のDAC本体が頻繁にずれてしまいます。
上記については容易に想像できるのでは…と感じましたので、例えばケースの一方に引っかかりを設けるなどで対策を講じてほしかったと思うところです。
前項に記載したディスプレイを表示させた状態は下記のとおりです。
画面上の左上から、音量・ゲイン(L / H)・デジタルフィルターの設定(番号で管理)・サンプリングレートになります。
再生・一次停止ボタンを長押しするとメニューへ遷移し、そちらで音量以外の設定を一通り変更することが可能となっています。
ディスプレイが搭載されているゆえの特長ではありますが、専用のアプリを介さずに手元で操作が完結するといった点は好印象ですね。
他社のドングルDACも同様にディスプレイを備えた製品が登場しているため、今後のデファクトスタンダードと化していくのではないかなと思います。
試聴前 – セットアップ
DACのレビューでは、組み合わせるイヤホン次第で出音は大きく変化するため具体的な表現が難しいと思います。
できるだけフラットな感想を伝えられるよう、今回は手持ちのイヤホンの中で準リファレンスとして愛用している「SeeAudio Bravery AE」で試聴していきたいと思います。
接続元は作業用のノートPC(DELL Latitude 5320)で、ノートPCとDAC間は付属ケーブルを使用しています。
DACとイヤホン間の接続は、エントリークラスながら不足ない性能をもつ銅線ケーブル「Yongse Meteor」です。
試聴してみての感想
Shanlingの製品では下記「M1s」でも同様の表現をしていますが、ESS社のDACチップらしさのある寒色傾向の明瞭感が高いサウンドとなっています。
「ESS社のDACチップ+RT6863オペアンプ」の組み合わせは、
M1sと同様に低ノイズでスッキリとした空間を演出しており、そこに雑味を感じるようなことはありません。
私が現在使用しているDAP(HiBy R6 III)は、よりハイクラス(ES9038Q2M x2)の製品ではありますが、双方を比べる限りでは、低ノイズ感はDAPに分がありつつも全体的なサウンドで「Shanling UA4」は十分に肉薄できていると感じます。
正直、ドングルDACだから…と舐めてかかっていた先入観を正さねばと思いました。
弾むような心地よさを奏でる低音域、Shanling独特の音色はしっかりと備わっていますのでご安心ください。
また、デジタルフィルターの切り替えでは分かりやすく違いを感じられるのが本製品のもう1つの特長です。
本製品には8つのフィルター設定が用意されていますが、いくつか例を挙げてみます。
まず、デフォルトで選択されていた2番目のフィルター設定(Liner phase fast roll-off)では、高域寄りの乾いた音色ながら聴きやすさに重点を置きつつ、爽快感のある表現となっています。
1番目のフィルター設定(Liner phase apodizing fast roll-off)では、前述のフィルターで感じた音色に低音域の厚みを少し加えたような表現で、私の考えているShanling然とした音色としては、こちらの方が似合っているように感じました。
好みの音色を見つけられるといった点ではフィルター設定は大いに役立ってくれることと思いますが、
基本的には、いずれのフィルター設定も些細な変化を及ぼす程度、いわゆる音の味付け程度にお考えいただいて問題ないと思います。
もちろん、組み合わせるイヤホン次第で出音は変わってきますので、前述のレビューのイメージ通りにはならない点もあることは悪しからず。
ドングルDACはスマートフォンで使用するシーンが最も想像できますが、
音楽に浸るひと時を大事にしつつ、多彩な音色を楽しみたいといった場合は本製品がおススメかなと思います。
お読みいただきありがとうございました。
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