こんにちは。
今回は、AFULより発売中のイヤホン「AFUL Cantor」のレビュー記事となります。
※本記事は、AFUL様(@AFULJP)主催の製品レビューツアーとして製品をご提供いただいております。
機会をいただけたことをお礼申し上げるとともに、他のレビュアー様の発信もぜひご参考ください。
製品の概要
「AFUL Cantor」は、14基のバランスド・アーマチュア(BA)を搭載した、同社のフラッグシップモデルに位置付けられるイヤホンです。
同社のイヤホンでは、いずれの製品においても特許を取得したものを含め数多くの技術が用いられています。
それらを列挙・要約したものは以下のとおりですが、詳しくは公式サイトの製品紹介をご参考ください。
・Dual Channel Acoustic Maze Technology-Deep Elastic Bass
・超低音域・低音域用に1基ずつ割り当てられたコンポジット・ドライバー
極薄に成形された音響管により、本来ではフルBA機で控えめとなりやすい低音域を強化
・Non-Destructive Direct Drive Topology Technology
・非対称的な音道を介して音の共振を避け、明瞭で伸びやかな高音域を実現
・Multidimensional Frequency Division Architecture Technology
・14基ものBAの統合制御を行い、各音域へと移り変わる際のバランスを調整
・High-Precision 3D-Printed Acoustic Tube
・直径にして、わずか「0.15mm」という極細の音響管により、明瞭で深みのある低音域を実現
・RCL Network Frequency Division Technology
・高度で電子的な周波数分割により、各音域でバランスの取れた音響表現を実現
もちろん、すべての技術が本製品で初出という訳でもなく、例えば「RCL Network Frequency Division Technology(RCLネットワーク周波数分割技術)」であれば、同社の「AFUL Performer 5 / 8」にも採用されている技術です。
そういった意味では、これまで膨大な時間をかけて培った技術の粋を集めた製品が、この「AFUL Cantor」として世に放たれたともいえるのではないかと思います。
製品の紹介
パッケージ構成
パッケージは、これまでのAFUL製品を踏襲したデザインです。
ただ、やはりカラーリングがブルーを基調としたものに変更されている点には目新しさを感じます。
付属品
3種類(S / M / L)のイヤーピース & プラスチック製ケース、清掃用のブラシが付属しています。
付属ケーブルの線材は、5N LC-OFC(線形結晶無酸素銅)をアメリカ製のソフトフレックスPVC被膜で覆い、外装には編み込みのナイロン素材を使用しています。
アンプ、イヤホンとそれぞれ接触するピンは金メッキが施された真鍮素材を採用し、プラグも同様に真鍮素材を採用した光沢感の際立つクロームメッキが施されています。
交換型プラグは採用されておらず、購入時に「3.5mm / 4.4mm」いずれかをお選びいただく形となります。
また、裏起毛で高級感のあるイヤホンケースが付属しています。
色々な場所へ持ち運ぶような使用方法でも、イヤホン本体が痛むことなく快適に扱える嬉しい一品です。
イヤホン本体
鮮やかなブルーのグラデーション効果が際立つデザインは、ドイツ製の高品質レジンで構成されています。
一般的に広く使用されているものに比べ、コストが高価となる代わりに外観・精度の両面におけるメリットの大きさが特長とのことです。
シェル部分の透明度は高く、搭載されたドライバーや超長距離の音響効果をハッキリと視認することができます。
ノズル部分はニッケルメッキの真鍮素材が採用されており、長さは「4.35mm」で直径は「4mm」です。
一般的なイヤホンのノズルに比べて長さの目立つフィルターレス構造ですが、超高音域の帯域幅を広げるメリットがあり、聴きやすさが高まる効果が見込めるとのことです。
なお、注意点として「付属のシリコンイヤーピース以外」の使用については、快適性や音質にマイナス面での効果を及ぼす可能性があるとのことで、推奨されていません。
本製品ではイヤーピースを装着する際、ノズルのレジン部分まで「しっかりと奥まで差し込む」ことが前提とされているため、軸の短いイヤーピースは金属部分が突き出てしまいます。
外耳道を傷つけてしまう可能性がありますので、お手持ちのイヤーピースへ交換し「味変」を楽しむことを目的とされている方はご注意いただければと思います。
しかしながら、私は理由のない限り「付属品はできるだけ大事に取っておきたい」と考えています。
一例ですが、いくつかのイヤーピースで装着の可否をチェックしてみたので参考となりましたら幸いです。
・装着可能なイヤーピース
・SpinFit W1
・Pentaconn COREIR
・Final Type E
・装着不可能なイヤーピース
・TANGZU Tang Sancai
・DUNU S&S(Stage & Studio)Eartips
・DIVINUS Velvet Wide Bore
ちなみに、付属のシリコンイヤーピースは金属部分がギリギリ突き出るか出ないか、の絶妙な長さに設定されています。
基本的には軸の長い、あるいは軸の途中にストッパーとなるような箇所があれば装着そのものは可能ですが、出音との距離が遠くなりますので、音質は変化することとなります。
その変化を許容できるかどうか、あるいは好みに合うかどうかでイヤーピース選びを楽しんでみてください。
レビュー
レビュー環境
本記事のレビュー時における構成は、以下のとおりです。
イヤーピース | 付属イヤーピース |
イヤホンケーブル | 付属ケーブル(4.4mm) |
DAC・アンプ | FIIO K9 Pro ESS |
そのため、メーカーの意図どおりに事前に十分なエージングを済ませたうえで、レビューを進めることとしています。
今回のレビューでは、これまで同社の最上位に属していた「AFUL Performer 8」と聴き比べています。
全体的な音色・各音域のバランス
全体的な音色として、私自身のイメージは「ニュートラル」だと感じました。
広大な音場と高い明瞭感、そこへ心地の良い低音域表現や細部まで感じさせるボーカル表現が合わさることにより、フラッグシップとしての風格を漂わせています。
各音域のバランスについては、以下のとおりです。
低音域
柔らかで心地良さを感じさせつつも、全体的には低音域が一歩前に出ているという印象です。
ダイナミックドライバーを搭載する「AFUL Performer 8」と比べると、深みや響きといった部分だけを見れば一歩譲るようにも取れますが、他の音域を遮らない程度の主張となるようバランスを整えたことによる「聴きやすさ」という面において、「AFUL Cantor」は大きく先を行くポテンシャルを叩き出していると感じます。
本当にダイナミックドライバーは入っていないんですよね…?と疑うほどには低音域がよく出ます。
フルBAで低音域がしっかりと出ているという点は評価すべきだと思いますし、だからといって無理に主張を強めているような雰囲気も感じませんので、とても上品な音に仕上げられていると思います。
中音域
他の音域との繋がりがスムーズなことに加え、ことボーカルの表現力の高さにおいては一聴の価値ありです。
男性・女性いずれのボーカルにもしっかりと対応できる、AFULらしいオールラウンダーな一面は変わらずですので、ことレビューにおいても楽曲選びに悩む必要はありませんでした。
女性ボーカルを綺麗に、繊細に表現するイヤホンは少なからず存在しますが、私が良いと感じたのは意外にも男性ボーカルです。
大体の場合、他音域に被さってしまい曇りを感じてしまいますが、その印象を覆すがごとくの曇りなき表現を感じることができたのは、色々とイヤホンをレビューしてきて本製品が初めてのことかもしれないです。
高音域
極めて高い解像度と、雑味の少ないクリアなサウンドが印象的です。
ただ、耳との距離感が近いせいか、高音域~超高音域になるにつれての微細な刺さりが少し気にはなりました。
微調整はイヤーピースの仕事ですので、非推奨ながらも装着可能なものから交換を試してみたところ、個人的には「Pentaconn COREIR」との組み合わせが良好だと思いました。
耳との距離を稼ぐことができる分、刺さりの低減や音場の広がりを高めるといった良い変化があるように感じられました。
* 大体のお気に入りイヤホンでは、COREIRと組み合わせることが多いです。高価ではありますが、ハッキリと効果があるので結果的にコスパ「◎」
なお、刺さりと表現したものの、やけに高音域の目立つ楽曲を聴かない限りは標準イヤーピースで十分です。
私が色々ととっかえひっかえすることを好む性分ということも含め、ご参考いただければと思います。
総評・まとめ
同社がこれまでにリリースしたイヤホンでは、長らく「AFUL Performer 8」が実質的なフラッグシップの扱いとなっていました。
「AFUL Cantor」は優等生タイプと評した同製品に代わり、同じ例えだとほぼ非の打ちどころがない生徒会長タイプだと思います。
完璧「真のフラッグシップ機」にふさわしいといえる、最高を目指したイヤホンへと仕上げられています。
また、本製品のインピーダンス値は「AFUL Performer 8」の「30Ω」から「20Ω」へ変更されていることで、より上流を問うことのない扱いやすさを備えている点についても、特長のひとつといえるでしょう。
残る懸念点は価格ですね。
上品なサウンドを求めるのなら、やはりコストも嵩んでしまうというのが世の常です。
799ドル、日本円換算でも11万円以上に達する価格は決して手の出しやすいといえるものではありませんので、私からは全力でお勧めしたい一品ではある反面、何かしらの機会でご試聴いただくこともお勧めしたいです。
販売先のストア情報
「AFUL Cantor」は、以下のストアでご購入いただけます。
お読みいただきありがとうございました。
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